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 この街は城と神殿を頂点にして、山をまるごと利用している。
 不入の森の結界を利用した構造で、城側と神殿側を裂くように高い壁がすそ野へ走り、上から見ると円の直径が引かれているように見えた。
 城側から見た坂の眺めは、神殿と全く違うものだった。
 神殿側の街はぐねぐねと波打つ砂利道で、同じように曲がりくねった小道がそこここで枝分かれしたり合流したりして、街全体が迷路のようになっていた。
 一方の城側は石が敷き詰められ、直線的に整備されている。家々の大きさも均一で、行政区画が行き渡っていた。
 大通りは直行で城へは行けないよう左右に大きく折れ曲がり、上りきるのにひどく時間を要する構造だ。所々から小道が生えている点は裏側と同じで、複雑なことに変わりはない。この細道を抜けた先に神殿側とつながる関所が設けられているそうなのだが、迷路のように入り組んだ小道を抜けるよりも、一度山を下りてから大通りを登ってきた方が早いという。
 不便極まりない構造だが、こうしておけば大軍に攻め込まれた場合、敵は大通りを使わざるをえないことになる。
 そうなればアーゼンは大通りの守りに集中できる。大通りで敵を食い止めている間に小隊に分かれて小道を駆け回り、街中でゲリラ戦を繰り広げるというわけだ。
 天然と人工の要塞。それがアーゼン王都の本質だった。
 フェイの繰る栗毛の馬に乗り、スウはあっけにとられたように城の門を見上げた。
 神殿側と高さは同じ。材質も同じ。けれど、迫力が違う。
 苔と蔓草に覆われたシンプルな門は無骨ですらあったが、あるがままに年月を過ごしてきた貫禄があった。西洋芸術を思わせる繊細な造りの神殿と比べることなど、はなからできるはずもない。
 門の向こうは青の花畑。冴えやかな色合いが一瞬不入の森を思い出させたが、こちらのものは全て同じ種類の花で、深く強い青だ。濃淡溢れる青を使い、印象派の絵画を思わせる森のものよりも、統制された意志を感じた。
「馬はここまでだ。この先は、な」
 門をくぐるやいなや、前を行くレゼが葦毛の馬を降り、すかさず現れた馬屋番に渡した。フェイがそれにならうより早く手を差し出し、スウを降ろす。紳士、健在。
 そう長く乗っていたわけではないが、地面に降りると足元がふらついた。まだ揺れているような気がする。
 暗紫の神官兵装から地味な茶色の衣装へ着替えたフェイが、馬屋番と和やかに会話をしていた。彼は直衣のようなアーゼンの装束ではなく、シンプルなハイネックの上着にズボンという、洋服に似た服装をしていた。初めて彼と会ったときにも似たような服装をしていたように思う。
 何事もなく城へやってきたようにみえる三人だが、スウは疲れ果てていた。
 城へ来るには一度山を下りて、また上ってこなければならない。一本道とはいえ、人々が行き交う中を馬で駆け下りるなんて、正気の沙汰ではない。ジェットコースターで障害物競走をしたら、きっとこんな気分だ。速い、危ない、揺れる、落ちる。これでもスウを気遣って速度を緩めていたと言うから驚きだ。さすがに上りはそこまで速くなかったが、スウが知るだけで三回、子どもが前を駆けていった。
「花迷宮、また道が変わってますね。この国の庭師の方々の意識の高さには、いつも驚かされます」
「まあ、四六時中『俺らが城を守ってるんだ』って豪語するだけはあるよな。単に暇なんだと思うが」
 花畑は遠目では分からなかったが、細い小道が何本も引かれた迷路になっていた。
 花は膝下ほどの高さしかないため、上から道を把握することはできた。が、広さが広さだ。しかもとても緻密で、分かれ道の多さはスウの気分が悪くなるほど。道順を暗記しているレゼがいるから安心だが、一人残されたらと思うと寒気がする。
 近くで見ると花は幾層にも花弁を重ねたもので、大輪の薔薇によく似ていた。ただ、ここまできつい青は初めてだ。瑠璃色のビロードで作った造花のように、何かを超越した存在感があった。
 観光気分丸出しだったのか、フェイがにこにこと説明を加えた。
「この花はショウビといいまして、その美しさから至高の花と呼ばれます。ここには一般的に知られる青ばかりが取り揃えられていますが、他にも黄色や紫など、様々な色を持っています。しかし、真紅のショウビは決して作ることができないことから、紅ショウビは『不可能の達成』、即ち『宿詞』を表し、転じて『アーゼン国王』を指しています。ですからこの国では、真紅の衣を身に纏うことができるのは、国王ただ一人だけなのですよ」
 スウは目を見張った。
 真紅のない花。自分の世界の薔薇と正反対だ。確か、自然な方法で青い薔薇は作れないと聞いた。
 薔薇の花か。懐かしい。
 こちらの世界ではあまり見かけないなと手を伸ばしかけたとき。
「気をつけてください。この花には強い毒性がありますから、棘に触れたら命はありませんよ」
 慌てて手を引っ込める。
「この花がここに植えられている最大の理由は、敵に攻め込まれた際の最後の砦として城を守っているからです。この花と堀の結界、街を覆う外壁の結界の三つがあるために、アーゼン王都は難攻不落の城塞都市と言われているほどですから」
「そうでもないぞ」
 レゼが真っ直ぐに神殿を指差す。黒くくすぶる森の残骸の周りを、さながらベルリンの壁のように、数メートルも空けず兵士達が並んでいた。城側を守るは鉄製の鎧を纏った兵士。神殿側を守るは紫紺色の装束を纏った下級の神官兵だ。
「元々、この街の構造は不入の森の結界を基礎として作られた。絶対に誰も森を抜けられないという地の利を利用したんだ。だから、今じゃ背後がガラ空きなんだよ」
 彼は頭をかきつつ、こともなげに言い放つ。
「むしろ、背中に短刀を突きつけられてるかんじ」
 曲がりくねった花の道を慎重に進むと、高層ビルのような城に行き着いた。この城は森からもよく見えて、どんな構造をしているのか常々不思議に思っていたのだ。
 城は神殿やその他の家々と違って、特殊な石でできていた。半透明の灰色でゼリーのような見た目だが、霧がかかったように向こう側が透けることはない。表面には目を凝らしてやっと分かるほどうっすらと幾何学文様が彫刻され、赤みを帯び始めた陽光にぼんやりと浮かび上がっている。これもまた魔法に関する文様なのだろう。
 入り口を入ると目の前に巨大な階段があり、折り返して延々と上へ続いている。壁も階段も曇ったような灰色なので、吹き抜けの天井がどのくらいの高さなのかさっぱり分からない。
 光源がないのに不思議と明るいのは、この石が流される魔力に反応して光を発するかららしい。窓がないはずなのに、不思議と空気も軽い。空調設備もあるようだ。
 当たり前のように階段を上ろうとすると、フェイが苦笑を混ぜてやんわりと制止した。
「こっちです。最近はあまり階段を使わなくなりまして」
 階段の脇を通り抜けた先に、鉄柵を二枚重ねたような扉があった。見ると、鉄柵の向こうはぽっかりと空洞が空いている。
 旧式のエレベーター。
 この世界にそんなものがあったのかと衝撃を受けたのもつかの間、その動力源に思い至る。
 デュノ。彼から搾取された、魔力。
 そうだ。このエレベーターも、明るい光も、全てデュノの魔力でまかなわれている。少年の苦しんだ分だけ、人々が楽をしているのだ。
 急に足がその場から動かなくなった。一歩も進みたくない。
「どうしました?」
 先を歩いていたフェイが、彼女に気付いて戻ってきた。
 スウは彼の腕を引いて、階段へと踵を返す。
「ええと……?」
 いい大人の困り顔も無視。少し離れた場所から、レゼの苦笑する音が聞こえた。
 丁度その時、エレベーターの鉄柵が開いて、数人の男性が降りてきた。みんな同じような新緑の衣を着て、眼鏡をかけている。全員が全員、重そうな書類の束を抱えていた。
 それが面白いほど揃って手から滑り落ち、一面に広がった。
『あー!! 殿下いたあー!!』
 綺麗に重なる絶叫。殿下などと言いながら、不遜にも指を突きつけている。
「あ、やべ」
「探したんですよ殿下ぁ! 再計算終わったんですから、いい加減こっちの言い分も聞いてくださいよう!」
「ちょ、あ、後で……」
「後で後でって、いつになったら聞いてくれるんですか!」
「これ、立派な犯罪の証拠なんですよ? 戸籍詐欺ですよ!?」
「集団脱税疑惑です!」
「現実見ましょ? ね?」
「分かった、分かってるから、今だけ、な?」
「何言ってるんですか、私ら七日は家にも帰らず風呂にも入らず、ここ三日は寝てもいないんですよ!?」
「うっわ汚な! 触んな、掴むな、引きずるなー!」
 徹夜明けでテンションが高かったのか、官僚と思われる男性たちは貪るようにレゼを引っ掴み、抵抗あえなくエレベーターの中に引きずり込んだ。彼らは皆レゼよりも背が低いが、五人がかりで押さえ込まれれば、さすがの殿下も歯が立たない。
「フェイ、後は頼んだー!」
 無情に閉まりゆく鉄柵の向こうから、青年の観念の声が亡者の呻きがごとく反響してきた。
 少女と青年は揃ってしばし無言。
 仲介役のレゼが居なくて、女王との面会が成り立つのだろうか……。
 でも、彼を責めたってしょうがない。元々仕事を抱え込んでいたところへ、デュノのことやスウのことで手一杯になってしまったんだろう。
 そもそも神殿へ来たのも、手紙を届けるぐらい部下にやらせれば良かったのではないだろうか。王子なんだから、使いに出てくれる使者もたくさんいるに違いない。それでも無理を押してやってきたのは、弟の顔が見たかったからか、二人をいじりたかったからなのか。それとも何か、信念に関わるようなものなのだろうか。
 フェイは諦めたように一息つき、傍らの少女へ問いかけた。
「どうします? やっぱり階段ですか?」
 頷いて歩き出す。
 背後から青年の嘆きとも苦笑ともつかない声がかかった。
「女王は最上階ですよ」
 構わない。



 そういえば、あの日も階段を上った。アイと二人でダイエットなんて冗談を言い合いながら。結局最後にはアイの愚痴を聞くハメになったのだけれど、少しでも努力をしてからあの人に会いたかった。
 あの日からどのくらい経つのだろう。まだほんの少ししか経っていない気もするし、あきれるほど長かった気もする。たぶん両方だ。
 スウは階段の途中で立ち止まる。
 間を置かずフェイが振り返った。まるでセンサーがついているよう。
「つらいでしょう。もう少しですが、先程の魔力式移送装置で行きますか?」
 首を振る。そして、自嘲した。
 どうせこんなことをしても、何かが変わるわけではないだろう。そんなことは分かりきっている。
「あなたは優しい子ですね」
 笑みを浮かべる青年に言い訳したくなった。
 こんなものは、ただの自己満足だから。



 最上階に着く頃には、すっかり足の感覚がなくなっていた。最近の運動不足が祟っている。
 最上階はひとフロアがそのまま部屋になっていた。階段前の細い通路に扉は一つで、とても大きく、威厳あるものだ。木目すら調和するよう計算されつくした浮き彫り、何度もヤスリがけをしてニスを塗りこめた表面。処々に使われる銀の装飾も控えめで、木材そのものの持つ存在感を強調している。
 両脇に立つ警備兵が、二人に対して袖を振る。袖払いは何度も見てきたが、ここまで几帳面に行われるものだとは思わなかった。日本で言えば、腰の角度が九十度。
 それに対してフェイは頭を下げて返した。グルディンとアーゼンでは礼のしかたが違うらしい。
 スウは一瞬迷ったが、自分の国の正しい挨拶を返した。それが礼儀というものだと思う。
 フェイが一歩進み出て、拳で扉を叩こうとしたとき。
「入れ」
 鋭い女性の声が扉越しに届いた。
「失礼します」
 扉は音もなく開いた。
 まず目に入ったのは、延々と続く暗褐色の絨毯。その奥の一段高くなった場所に大きな机と椅子がしつらえてある。
 しかし、彼女は椅子ではなく、部屋の中央に厳然と佇立していた。
 年は四十の手前といったところか。背の高い女性だ。
 彼女はアーゼンの伝統的な装束とは異なって、長いワンピースを着ていた。体のラインに沿った衣装はイブニングドレスに近い。冴え渡るような青いドレスに飾りは一切なく、だからこそ着る者を選ぶ服だ。飾りと言えるものは腰に携えた皮のベルトと、細身の長剣だけ。
 何より目を引いたのは、銀色と称される淡い髪の色だった。わずかに青色を帯びた光沢のある髪は、既存の銀色とは異なっている。青をどこまでもどこまでも磨き上げたなら、こんな色になるのかもしれない。長い銀髪が真っ直ぐに背を流れるさまは、水が落ちる姿を思わせた。
 向けられた眼差しが厳しく思われたのは、深蒼の色合いだけではあるまい。視線は人格を表す。
「お前は下がれ」
 女王はフェイを見ることもなく壁際へ寄せると、ひたとスウを見据える。
 女王は女性にしては背が高く、見下ろされると威圧感があった。
 どのように足を動かしたのか覚えていない。スウは無意識に広く間合いをとって女王と向かいあう。
 近くで見ると、整った顔立ちはどこか東洋的だ。これはアーゼン人というよりむしろ。
 グルディン人?
 とっさにフェイを見た。似ていると言うほどでもないが、柔らかそうな髪質や目鼻立ちが似通っている。背が高いことも民族的特徴と言えるかもしれない。
 国王は不在で、留守を預かるは異民族の女王。
 なるほど、レゼが立ち回りに苦労するはずだ。
 カツンと靴音を響かせて、女王が間を縮めた。
「お前が白の賢者か」
 愛想の見られない硬質な声色。目の前に存在する姿があまりに女性的であるがゆえに、その言葉遣いに違和感がある。
「息子が世話になった。早速だが、今すぐあれのもとを離れてもらいたい」
 抑揚なく放たれた言葉に、数瞬理解が遅れる。
 アレ、とは、デュノのことか? どうして。
 動揺が顔に出たのだろう。女王は言葉を重ねた。
「あれにとって、お前は良くないものだ。このままでは、いずれ駄目になる」
 それは最近のデュノの、自分への固執を言っているのだろうか。確かにスウでも閉口したくなるときはある。けれど、駄目になるとまで言わなくても。
「お前の面倒は私がみよう。今後、神殿へは近づくな。話はこれだけだ」
 女王は切り捨てるように言い放つと、彼女に背を向けて執務へ戻る。もはや話は終わったというように。
 事務的にも、ほどがある。
 ――どうしてですか。
 聞こえなかったはずだ。
 けれど、まるでその声が聞こえたように女王が振り返り、顔を上げるスウの視線を捕らえた。
 ――デュノは私に懐いてくれてる。私だってデュノのことを信頼しています。それの、何がいけないと言うんですか!
 もし声が出たなら、部屋いっぱいに響いたことだろう。届くはずがないと分かっていながら、怒りに似た何かが喉元を駆け上がってくる。言葉が伝わらないことがこれほど悔しいことはない。詰問してやりたかった。
 ――私の何が……!
 空の言葉は唐突に口を閉ざして終わる。
 目の前に刃を突きつけられていた。
「お前に選択権はない」
 先程まで数歩離れた場所にいた彼女が、真っ直ぐに剣を差し向けている。鼻の先で一ミリとぶれない切っ先が、否応なく彼女の力量を伝えてくる。
 歯が鳴った。剣を向けられたことなど、一度として無い。昔、アイに冗談で包丁を向けられたくらいだ。
「部屋を用意する。城から出ることも許さない」
 覆しようのない断言に、スウは言葉を失う。目の前で光を返す切っ先が思考力を奪っていた。
「お言葉ですが、陛下」
 その空白を突いて、低く柔らかな声が割り込んだ。フェイが窺うように進み出る。
「デュノは彼女を慕っていますし、彼女は月下の間へ入ることができる数少ない人物です。今後も前回のようなことが起こらないとも限りません。一体、何を慮っおもんぱかていらっしゃるのですか?」
「お前には関係のないことだ」
 冷徹に言い切り、女王はスウへ向き直る。
「束縛か、死か。あえて選ぶか?」
 女王は挑むように見詰める。スウの口元ではなく、目を。
 その強い青は、ショウビの花を思わせた。
 ――嫌です。
 答えながら、デュノが知ったら悲しむだろうなと思った。実の母親でさえ、少年の味方ではないのだ。
 ――私はあの子のがわ でありたい。
 たとえそれが、何一つ意味を成さなくても。
 女王は目を細め、口の中だけでそうかと呟いた。
 刃が風を切る音がした。とっさに目を瞑る。
 一瞬の後に、金物が鳴る高い音が響き渡った。
 そっと目を開けると、女王の剣が頭上で大振りな刃に突き刺さっていた。パキンという音を発てて大剣は割れ、重そうな刃が足元に突き刺さる。
 傍らのフェイがやれやれと息をついた。
「陛下は本当に直情的ですね……」
「逆らうか?」
「いいえ。しかし、この少女はあまりに無力で、何の後ろ盾があるわけでもありません。突然知らない場所に放り出され、戸惑っているだけの子供を斬るというのは……」
 青年は半歩足をずらして、女王へと向き直る。
「貴女自身に反していませんか」
 どこか誇らしげな、自信のある問い。
 女王はぴくりと眉を寄せた。感情の見えなかった顔立ちに、わずかな不快の影が乗る。
「でなければ、この剣は盾の意味すら持ち得なかったでしょう。……それに、今しばらく待ってはいただけませんか。彼女の存在が、今は必要な時なのです」
 フェイは普段と変わらぬ笑みで完全にスウの前に立つ。
 その言葉の意味をスウは知らない。
 女王は呆れにも似て剣を収めると、好きにしろと呟いて部屋を出ていった。
 スウがその背を見送ることはなかった。彼女の視線はただ、部屋の脇に置かれた絵画に注がれていたのだから。
 女王とのやりとりで気付かなかったのが不思議なくらいその絵画は大きく、額縁も立派なものだった。等身大と思われる人物は四人。灰色の髪をした二人の子供と、若く、しかし今と変わらぬ凛とした気配を持った女王、そして。
 うっすらと笑みを浮かべ、こちらへ視線を注ぐ黒髪の男性。
 真紅の装束を纏った姿に、彼こそが国王だったのだと思い至る。
 驚きはなかった。
 真実への知識は、始めから自分の中にあったのだから。


 不思議なことに、その日は悪夢を見なかった。
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