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<第一部あとがき>  この物語は、ここから始まりました。

 それには二つの意味があります。
 一つは皆さんが読み終えた、この瞬間として。
 そしてもう一つは、私が最初に思い浮かべた場所として。
 芽吹いた種が天へ芽を伸ばすと同時に地へ根を張るように、この物語は膨らんでいきました。
 言うなれば、今までの話は全て過去であり、基盤であり、理由です。

 この物語を語り始めるとき、どこから切り出すべきか本当に迷いました。
 第一部を全て過去にして、この先から始めようかとも考えました。その方が話も短くなりますし、書く側としての負担が少なかったので。
 けれど、それでは伝わらないものがあることに気付いて、諦めました。
 それは時間です。
 彼らが過ごした時間を昔話として語ってしまったら、ただの抽出物になってしまう。もっと重さが必要だったのです。
 もちろん、これだけ読んでいただいても、私の力不足でそうなってしまう可能性はあります。気は抜けません。

 だから、全て最初から語ることにしました。
 そして、書いて良かったと思いました。
 後悔もありますし、未練もあります。それでも書く必要がありました。
 この先を支えていくだけの根が、この物語には必要でした。これで足りているのかと言われると不安なばかりですが、とりあえず芽は出たわけです。あとはどう育つか。

 なんだか園芸の話になってしまったので、軌道修正をば。

 この話を目に留めてくださった方々、優しいお言葉を下さった方々へ、心からお礼を申し上げます。
 私一人ではいつまで経っても先へ進めなかったでしょう。出来上がった場所ばかりを見て、ずっと修正していたと思います。
 いつも振り切ることができたのは、あなた方がいたからです。ありがとうございます。

 冒頭で言いましたが、この話は始まったばかりです。
 これから彼らがどうなっていくのか、もうしばしお付き合いいただけたら、と思います。

 それではここまで目を通していただき、本当にありがとうございました。

2005年9月1日  由島こまこ< 改め 和多月かいbr>
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